(2018.6.10 作成)
安価なマルチメーターの中でUT61Bを選んだ理由ですが、コンデンサ容量計測/温度計測ができ、かつPCとの通信機能がある中でなるべく安いものを選んだ結果です。
そして実際に到着して使ってみた感想ですが、特に何のことはない普通のマルチメーターです。オートレンジもあり、必要と思われる機能はすべて入っています。周波数計測からトランジスタhFE計測まで。
おそらくこれさえ持っていれば個人のDIYにとっては必要十分ではないでしょうか。
マルチメーター単体で使用する際には全く不満はないのですが、PCとの接続についてはひと苦労ありました。
まずPCとの接続ソフトについてですが、UNI-T社のサイトからダウンロードできる"UT61 Series interface software"ですが、ウィルス対策ソフトが警告を発したため使用しませんでした。
しかしインターネットで検索するとUT61用のロギングソフトウェアをいくつか見つけることができます(その1、その2、その3)。ただ管理人としてはこれらにあまり魅力を感じませんでした。比較的sigrok-meterはよさそうですが、こちらは残念ながらまだ開発中のようでした。
どうしようか悩んでいたのですが、調べてみるとUT61BにはFortune semiconductor社のFS9922-DMM3が使用されていることが分かりました。データシートを見てみると通信コマンドはかなり簡単そうです。そこでプログラムを自分で作れば今後もいろいろと使えそうなので、ロガーを自分で作ることにしました。
PCへの接続はRS232Cケーブルなので右のような日本のAmazonでも買える安価なRS232/USB変換ケーブルを使用しました。
しかしここで一点注意があります。実際の通信は左下写真の矢印で示していますがマルチメータ側にLEDがあり、ケーブル側にフォトトランジスタがあって光学的に通信が行われます。
これは変なノイズがPCから回らないためだと思うのでよいのですが、注意すべき点はフォトトランジスタの駆動です。
というのはフォトトランジスタの電源はRS232のDTR, RTS線から取るようになっています(この接続ケーブルについてはこちらで解析されているのですが、ちょっと回路図が怪しいです)。このためUSB変換ケーブルもDTRを出力してくれるものでなければなりません。
幸い右上のリンクで示したRS232/USBケーブルで使用されている変換IC(CH340)はDTRを出力する機能があるので問題はありません。
しかしこのCH340を用いたケーブルですが、管理人の環境ではDTRで電圧を出してくれたり/くれなかったりと謎の挙動を示します。 そのためDTRを制御できる通信ソフト(例えばこれ)を使用してDTRがOnになってデータが送られてくることを確認したほうが良いです。
2400bpsでポートを開いて一定時間ごとにデータが送られてくるようであれば問題ありません。この状態でポートを閉じればDTRがOnの状態を継続できます。
作成した通信ソフトを以下からダウンロードしていただけます。
UT61Bでしか動作確認は行っていないですが、同じIC(FS9922)を使用しているマルチメータ(UT61A, UT61C, UT61D, VC-830)などでも使用できると思います。
使用方法は簡単で、ポートをオープンしたら流れてくるデータを表示するだけです。RS232Cの簡単な構文解析部分だけでも利用価値があるかもしれません。
実際に使用してみたところデータの転送間隔は0.6sごとでした。特に今のところ何に使うとかの用途はないのですが、そのうちきっと役に立つと思っています。