(2023.3.12 作成)
このページでは右写真にある簡易安定化電源について紹介したいと思います。
簡易安定化電源と言っていますが、写真のボックス単体では電源としては機能せず、別途DC電源で電力を供給する必要があります。
このため実際、この手の物は昇圧・降圧コンバーターと言われます。Amazonでも昇降圧コンバーターと検索すると類似品がいくつか出てきます。
さて、電子工作を行うには安定化電源は不可欠な機材の一つだと思うのですが、これまではヤフオクで購入した写真のようなTEXIOのちゃんとした電源を使用していました。
しかしこいつは性能には不満がないものの大きい、重い、ファンがうるさいということで少し使い勝手が悪いです。
もちろんこのTEXIOのような本格的なものでなくても、Amazonで安定化電源と調べると右のような安定化電源が6,7千円で購入できます。しかしこれに変えてもあまり小さくないですし、ファンの騒音が減るかもわからなかったので購入をためらっていました。
必要な場合はTEXIOのものを使うので、簡易的・かつ静かな電源を探しており、これまでも電圧可変のACアダプターを試してみたりしたのですが、イマイチでした。
ところで最近はGaN半導体を用いたUSB PD対応のACアダプタが多数安価に販売されており、Amazonで検索すると大量に出てきます。私もつい先日会社で支給されたPCを自宅で使用するために一つUSB充電器を購入しました。購入したのは左のアフィリエイトのものです。
で、USB PDであれば数十Wの出力が出せるので、こいつを昇降圧すれば簡易的な安定化電源になるのでは?となりました。調べてみるとトリガーと呼ばれるものを接続すると5V以外のPD規格の電圧を取り出せるようです。
そのようなことができるデバイスを調べてみると様々な基板がすぐに見つかりました。しかし安定化電源としてそれなりに安心して使おうとすると筐体や表示が欲しいです。そうやってさらにいろいろと調べる中見つけたのが最初の写真にある電圧コンバーターです。
裏側を見てみるとUSB PDだけでなく、様々な入力形式に対応しているようです。
それに、この製品は最初の写真のように電流電圧表示があり、またCC/CVモードで出力ができ、かつファンも必要な時以外は止まっているようなので理想的だと思いました。なぜか背面の中央に謎の穴が開いているのはご愛嬌ですね。
ということで早速買いましたので評価です。出力には別途紹介している電子負荷を接続して測ってみました。
まずこの電圧コンバーターに接続するUSB電源ですが、入力が5V以上とあったので家にあったいくつかのUSB ACアダプタを試してみました。しかし試したところ5Vしか出力のないACアダプタではうまく動きませんでした。昔のiPadの充電器なら電流も大きいので大丈夫かなと思ったのですがダメでした。接続直後に一瞬ファンが回るのですが、その際の電圧低下でエラーになるみたいです。
ということで動作が確認できたのは以下の2つです。
だけでした。
特に何の設定もしていないですが入力電圧を確認するとUMIDIGI充電器は12V入力、購入したUSB PD充電器は20V入力になっていました。
そして実際に電子負荷に接続したところUSB充電器の出力規格まではこの電圧コンバーターで出力できそうです。具体的にはUMIDIGI充電器だと12V1.5Aまでの任意の電圧・電流値で出力できそうです。
また出力波形もオシロで見てみました。5V0.5Aで出力した時の画像が下の物です。左がTEXIOの安定化電源出力です。さすがにほぼノイズが載っていません。右がこの電圧コンバータの出力です。0.5V程度のノイズが載っています。
電圧コンバーターの出力を拡大したものです。188kHzでスイッチングノイズが載っていますね。
まぁアナログセンサの電源に直接使用するならちょっと問題かもしれないですが、ディジタル用の電源としてはこの程度全く問題ないと思います。
ということでこの電源かなりおすすめです。GaNのPD電源を使用することで比較的大きな電力も安定して取り出すことができます。そしてなにより小さいし、軽いし、動作中もほとんどファンが回らないので静かです。ちょっとボタンが小さくて押しにくいですが実用上は問題ないと思います。
今後はTEXIOの電源の出番はなくなるだろうなって思います。すばらしい
少し調べただけでも他にもいくつか下の写真のようなものがあって選択肢が色々とありそうです。どれも送料込みで2,3千円程度なので一つ持っておくのがお勧めですね。これからUSB PDって主流の電源になりそうですね。