(2019.8.10 作成)
このページでは下の写真にあるような安価なLiPoバッテリー残量表示計について紹介したいと思います。本記事執筆時点では日本のAmazonさんで300円前後、Aliexpressでは100円以下で購入することができます。
基板にはXW228DKFR4とシルク印刷されていますが、これが正式名称かどうかよくわかりません。
具体的な使い方としては大して注意する点も何もありません。単にプラスとマイナスにリチウムイオンバッテリーをつなぐだけです。
残量を調べたいバッテリーのセルがいくつ直列に接続されているかで1S~4Sまでのどれかのモジュールを購入して使用してください。また購入後はパッと見でそれぞれの違いが判らないので注意してください。
一応1S~4Sの見分け方ですが、抵抗R9で見分けることができそうです。ただこのチップ抵抗は表記がEIA-96形式で印字されているのでわかりにくいです。
管理人がネットの写真から調べた範囲では右の表の通りとなっていそうです。ご参考まで。
型番 |
抵抗表記 (EIA-96) |
抵抗値 |
1S | 30C | 20K |
2S | 71C | 53.6k |
3S | 93C | 90.9k |
4S | 10D | 124k |
1Sの場合、LEDの点灯数と電圧の関係は下の表のようになっていました。このページの後半ではこのモジュールの解析結果を載せていますが、そこから推定した設計値と合わせて載せています。
満充電が3.9Vというのはどうなんでしょうね?ちょっと低いような気がしますが、そこまで詳しくないのでよくわからないです。
LED点灯 | 設計値 | 実測値 |
1 | 3.38V | 3.35V |
2 | 3.57V | 3.54V |
3 | 3.73V | 3.72V |
4 | 3.93V | 3.91V |
せっかくなので電気設計の勉強を兼ねて詳しく見てみました。
ネットで正式な回路図が見つからなかったので、私の方で右図のような回路図を作成してみました。以下にそれぞれのブロックごとに詳しく見ていきます。
電源部分にはショットキーダイオードが設置されているので、一応逆接続は防止されています。またこのダイオードの順方向電圧によりVinはバッテリー電圧-0.3V程度に降下しています。
TI製のシャントレギュレーターTL431を使用して基準電源を作成しています。右図のように接続するとTL431により2.495Vが作成されます。この電圧から抵抗分圧によって基準となる1.1Vを作成しています。
この部分を簡単にシミュレーションしてみました。Vinが2.7V = バッテリー電圧が3.0V以上であれば基準となる1.1Vが安定して出力されるようです。
コンパレーターを用いて先に作成した基準電圧と入力電圧を比較します。
実際のモジュールでは一番大きなICですが、表面には何も印刷されておらず正式な型番はわかりません。4回路入りのコンパレーターになります。
この回路図ではMCP6569と書いていますが、単にKiCADで同じピン配のシンボルがあったため使用しているだけです。
動作としてはVinを抵抗分割により4つに分けてVrefと比較しています。
表示に使用されているLEDモジュールについてもネットで仕様書を見つけられませんでした。少し調べてみたところ左の様に結線されていることが分かりました。
コンパレーターの出力がLowになると該当するLEDが点灯します。コモンアノードのLEDディスプレイと似たものかと思っていたのですが、違っていたみたいです。コンパレーターの出力で動かすからなのかa~dの入力はアクティブローのスイッチになっています。
こちらのサイトに1S~4Sまでの背面の写真が載っていたので、それぞれのLED点灯電圧を計算してみました。ただ一応目安程度に考えてください。電源入力部のダイオードによる電圧降下を0.3Vと見積もっていますが、ここには個体ばらつきがあると思います。
LED | 1S | 2S | 3S | 4S |
1 | 3.38V | 6.63V | 10.24V | 13.44V |
2 | 3.57V | 7.02V | 10.85V | 14.25V |
3 | 3.73V | 7.36V | 11.38V | 14.95V |
4 | 3.93V | 7.76V | 12.02V | 15.80V |
16V程度までの入力では壊れませんし、逆差し防止もあります。安心して使えるモジュールだと思います。100円以下で購入できるのでコンパレーターとTL431を手に入れるために購入するという手もありかもと思いました。
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