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AC電流センサ(ZMCT103C)

(2017.9.3 作成)

(2017.12.24 更新)

 このページでは南京择明电子有限公司の電流トランスZMCT103C

を用いた交流用の電流センサについて紹介しようと思います。

 センサと書いていますが、実際はただの電流トランス(CT)を実装しただけの単純な基板です。

  Aliexpressで"single-phase current sensor"として検索すると1個150円ぐらいで販売されています。

管理人の購入したモジュールは写真のようにピンが曲がって到着しました....

 電圧トランスを用いたAC電圧計はこちらのページで紹介していますが、このモジュールは同じくトランスで電流を計測するようになっています。

 管理人は電気エンジニアではないので違っているかもしれませんが、両者を比べると、

  • 電圧センサでは巻き数比1:1のトランスを使用しています。一次コイルに直接接続し、二次コイル側で計測します。820kΩのチップ抵抗を使用しているため、計測する電流が小さく(170μA)なっておりオペアンプを用いた増幅が必要になっています。
  • 電流センサでは1000:1の巻き数比のトランスが使用されています。一次コイルはなく、中央の穴を貫通する電流とコイルの磁気結合で計測します。巻き数比が異なるため5Aの電流が2次側では5mAとなり、オペアンプによる増幅は不要です。

 巻き数比が大きい場合に端子をオープンにすると高電圧が発生するため要注意なのですが、このモジュールの場合ピンヘッダの根元に100Ωのチップ抵抗が実装されているので高電圧が発生せず安心して使用できます。

使い方(その1)

 このサイトにCTセンサの原理、使い方からArduinoでのプログラミングまで一通り簡潔に紹介されています。英語なので管理人は読むのが大変でしたが、一度通読されることをお勧めします。

 さて簡単な使い方ですが図のL1より左が、被計測対象の電線です。そしてR1とL2が今回紹介しているモジュールになります。なのでユーザーは電源とR2,R3,C1を準備することになります。

 それぞれの意味ですが、まず抵抗R2, R3にてオフセット電圧を作成します。図の場合 R2 = R3 = 10kΩとして等分割し、Vcc(3.3)/2 = 1.65Vのオフセットを与えています。

 これがないと交流を計測しているため0Vを中心に負の電圧が発生し、マイコンでの計測が面倒になります。

 C1は単に電源ノイズ対策で入っているだけでなくても動きます。R2とC1でローパスフィルタになっていて1.6Hzカットオフになっています。要するにDCだけ通すってことですね。

計測例

 今回のモジュールと同様に商用電源を計測できるモジュールACS712と同時に計測しました。

 上記回路は写真のブレッドボードに取り付けています。

 ちなみに計測している負荷は自作の換気扇についているACアダプタです。

 赤が今回のモジュールで黄色がACS712の測定結果です。直列に接続しているので同じ電流を測っているはずですが、ACS712よりノイズが少なく、きれいに計測できていることが分かります。

 このモジュールは簡単な回路で商用電源の電流が計測できるので、いろいろと使い道がありそうなモジュールです。

使い方(その2)

 上の図のように低電流を計測する場合は増幅して計測した方が精度が上がります。その場合の回路例を3パターン下に示します。

 左の2つはオペアンプ(LM358)を用いたもので、右のものは計装アンプ(AD623)を用いたものです。

 これらの回路で増幅率を決めるものはDPOTと記載された抵抗です。DPOTとはディジタルポテンショメータのことで、これを使えばマイコンで増幅率を変更できるようになります。もちろん固定抵抗にしても問題ありません。

 さて各回路の優劣ですが

  • オペアンプを用いたものはLM358が10円前後で入手できるためとても安いです。一方測定した電圧から増幅率を逆算して電流に換算するのが困難です。理由は基準電位が安定しないことだと思っています。
  • 一方計装アンプを用いたものは高価です。Aliexpressで送料込み130円ぐらいです。ただし電圧値から電流値に換算できますし、波形のゆがみもほとんど生じません。

ということでもちろんお勧めは一番右の計装アンプを用いたものです。

 この計装アンプバージョンでセラミックファンヒーターの電流を計測したものを右に示します。上の黄色がCTセンサの出力(=計装アンプへの入力)で赤が計装アンプの出力です。

 見ての通りノイズも少なくきれいに増幅できていることが分かります。