(2017.9.4 作成)
このページではAllegro社のホール効果を用いた電流センサACS712について紹介したいと思います。
Aliexpressで探すと記事執筆時点では1個140円ぐらいで購入できます。
電流センサICには他にもいくつかあり、精度的にもそちらの方がよさそうなのですがこのモジュールの特長をまとめると、
ということになります。
使い方はとても簡単です。VCC端子に5Vを入力するとOut端子から2.5Vを中心としてアナログの交流波形が観測できます。後は単に出力をマイコンのADCで読んで仕様書に記載の変換係数(5Aまで測れるICだと185mV/A)で換算するのみです。
ただしホール効果を使用しているため、温度や地磁気による影響を受けるらしく、精密に計測する場合は補正などの対策を行った方がよさそうです。このことに関してはいくつかのサイトで取り上げられているのでそちらを参照いただくのが良いと思います。
一方あまり触れられていないのですが、このACS712にはFILTERという端子が存在していますので、ここではこの端子について触れたいと思います。
仕様書を読めばわかることですが、このFILTER端子は内部の抵抗と合わせてローパスフィルタを構成することができます。
なぜこのような端子が存在するかですが、出力がアナログで出されているため出力後にフィルタするよりも内部でノイズをカットしておいた方が精度が向上するためのようです。
実際のモジュールではFILTER端子に1nFのコンデンサが取り付けられています。
なぜ1nFかというと、このコンデンサに対応する抵抗がチップ内に存在しており
RF(INT)=1.7kΩ
になっています。
ここからカットオフ周波数を計算すると
1/(2*pi*1.7kΩ*1nF) = 93kHz になっています。
ACS712の最大周波数が80kHzなので1nFのコンデンサはちょうどよい値ということになります。
ただし測定する電流が高周波成分を持たないとわかっているのであれば、このコンデンサーの値を変えた方が精度は良くなると思います。
電流トランスを用いた電流センサと同時に計測した例を示します。
黄色がACS712モジュールを用いた測定結果です。トランスを用いたものに対してノイズ成分が多いようです。
またトランスを用いたものは消費電流がほぼ0mAだったのですが、ACS712の方は12mA消費しています。
このことから商用電源の電流を計測するにはトランスを用いたセンサの方がよさそうです。
一方直流を測りたい時にはACS712が必要になると思いますので、用途に合わせて適切なセンサーを選べばよいと思います。