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LiPoバッテリー充電コントローラ(MCP73831T)

(2019.1.19 作成)

 このページではとても安価なリチウムイオン/リチウムポリマーバッテリー充電コントローラーICであるMCP73831Tについて紹介したいと思います。Aliexpressで1個10円前後で購入でき、かつパッケージも0.95mmピッチなので頑張れば手はんだも可能なので充電を試してみるには程よいICではないでしょうか?

 またこちらでは同様に安価な充電コントローラーTP4056についても書いています。ご興味があれば併せてご覧ください。

充電コントロール動作概要

 LiPoバッテリーなどは発火の可能性があるため、充電電圧が規定値(4.2V)を超えないように制御する必要があります。方法はいくつかあるようですが、このICの場合は最初に設定した電流量で急速充電を行い、バッテリー充電が4.2Vに達したところから定電圧充電になるようです。

 電流量の設定はPRG端子に取り付ける抵抗値で決めることができ、1000/RPRG[mA]になります。このためこの図では10kΩの抵抗を取り付けているため充電開始直後は100mAで充電し、その後は4.2Vの定電圧充電に切り替わっています。

 また終了判定ですが、最大充電電流の7.5%の電流になったところで終了します。このためこのグラフでは7.5mAで充電が止まっています。

評価基板の設計

 充電ICを使用したことがなく、本当に上記のような動作をするか確認するため以下のような回路を作成してみました。

 簡単に動作を説明すると、まず仕様のわからないバッテリーをAliexpressで購入することを見越して保護回路(DW01)を搭載しました。

 またこのMicrochipさんの説明資料(AN1149)を参考にFETを設置し、負荷と同時に充電も同時に可能になるような設計にしました。具体的には下に示したように電源に接続されている場合は大きく2系統にパスが分かれ充電と同時に負荷を駆動し、電源が外されるとバッテリーから負荷に電力が供給されるようになります。

評価環境

 評価については以下の写真のように充電コントローラーICとバッテリーの間に電流モニタ(INA226)モジュールを挿入し、電流と電圧を同時計測しました。またバッテリーはAliexpressで購入した802035サイズの400mAhのLiPoバッテリーを使用しています。

 この下に書いていますが、肝心の電源についてはUSB充電を想定し5VのACアダプタを使用しました。

評価結果

 上記環境で評価してみた結果が右図です。あれれ?電源上の方にある仕様書のグラフとずいぶん違います。

 4.2Vに到達していないのに定電流充電になっていません。これだと急速充電ができておらず不満です。

 また2回充電をしていますが、終了位置も違っています。

 期待値としては4.2Vになるまで300mAで充電し、22mAまで下がったところで充電が終了することです。このほかにも何回か試してみたのですが、毎回挙動が変わっていて正直よくわかりません。

 定電流充電が行われないことに関しては仕様書には明確に記載がないのですが、入力電圧-1Vまでしか行われないようです。このため仕様書のグラフも良く見ると入力電圧が5.2Vになっています。ということでUSB充電する際はこのICを使うと急速充電が事実上行われないということが分かりました。

その他気づいたこと

 上記のように入力が5.2V以上でないと本来の機能が生かせないことは個人的には不満なのですが、さらにこちらのSE組み込み人さんのサイトで指摘されているようにバッテリーが無接続だとLEDが謎の点滅をします。英語版の仕様書の改定Fで追加されたBattery Detectionなのかもしれませんが、LEDの点滅については触れていないので謎仕様です。

 ということでMCP73831については個人的にはハズレのICではないかと思いますが、いかがでしょうか?偽物が出回っていると書いてあったサイトも見かけたような気がするので、もしかしたら本当に偽物を買っちゃったのかもしれません。

放電実験

 ちなみにMCP73831とは直接関係がないのですが、電子負荷(ZPB30A1)を使って放電実験をしてみました。バッテリー評価モードにして終止電圧2.8Vで放電させてみたのですが、それっぽいグラフが作れました。

 400mAで40分(283mAh)、200mAで200分(376mAh)という結果でした。400mA放電の時は少し充電量が足りなかったのかな?まぁ、まずまずの評価結果でした。

 管理人が行った評価ではこんな感じでした。いかがでしょうか?ご参考になればと思います。

コメント: 8 (ディスカッションは終了しました。)
  • #8

    管理人です (火曜日, 05 10月 2021 22:36)

    YODARE_DORIさん
    コメントありがとうございます!

    取り急ぎ以下に当時のものらしいデータをアップロードしました。
    <https://mega.nz/file/Ha5AVKwR#FKkGpdJsD9ouTIAJMMxlX87jBg1AyNyJ1WnrzXpLQqQ>
    ただ、2年も前のデータで私もすっかり忘れているのでこれが最終かちょっと自信がないです。。。使用される場合は十分確認してください。

    なお使っている端子は中華製XHコネクタです。
    ご参考になれば幸いです。

  • #7

    YODARE_DORI (火曜日, 05 10月 2021 17:03)

    それと、使っている端子は何でしょうか?

  • #6

    YODARE_DORI (火曜日, 05 10月 2021 17:02)

    コメント失礼します。
    この基盤のデータの配布予定などはありますか?

  • #5

    管理人です (火曜日, 31 12月 2019 08:27)

    Hello Fred,
    Thank you for your comment.
    I hadn't expected to get comments to come in English...
    I put a cad file below, however it is KiCAD not Eargle.
    I hope it helps you.
    <https://box.yahoo.co.jp/guest/viewer?sid=box-l-powmsxp375uhhg3cnkbcnxjn74-1001&uniqid=1e4e3e8e-2c1d-47d2-b314-1a3b39dc95d6&viewtype=detail>

  • #4

    Fred (月曜日, 30 12月 2019 21:00)

    Very good information. Thank you for sharing. Do you have eagler cad files available? Thanks

  • #3

    匿名 (火曜日, 08 10月 2019 13:35)

    返信ありがとうございます。
    なるほど!保護用でしたか。
    確かに、6Aで作動だと少し流れすぎな気もします。
    参考にさせていただきます。

  • #2

    管理人です (月曜日, 07 10月 2019 22:54)

    コメントありがとうございます!
    ご質問のR6ですが、過電流保護のために入れているつもりです。

    DW01のCSピンに0.15Vが加わると過電流保護が機能するのですが、FS8205AのOn抵抗はTyp.25mΩなのでこのままだと単純に
    0.15/0.025=6Aぐらいで過電流保護が機能します。
    これは流れすぎなので100mA入れることで
    0.15/(0.1+0.035)=1.1Aで制限がかかるようにしています。
    (0.035はFS8205Aの最大抵抗)

    以上のように考えて入れてみたのですが、確かに他ではあまり見ない構成ですね。
    ちなみに素人なので自信は全くないですし、動作確認もしてないです。。。
    どうでしょう?意図はわかっていただけたでしょうか?

  • #1

    匿名 (日曜日, 06 10月 2019 22:40)

    コメント失礼します。
    ご質問なのですが充電回路のR6に0.1ohmの抵抗が入っているのですがなんのためでしょうか?
    よく見る同パーツの中華製保護回路だとあまりみないので気になって質問させていただきました。