(2018.11.27 作成)
(2022.8.4 追記)
このページではTI社製の昇降圧スイッチング電源IC TPS63020を紹介したいと思います。このICは目的電圧より入力が高くても低くても適当に出力を合わせてくれるので、何かと使いどころがあります。
例えばリチウムイオン電池を使う場合、電圧が3.2~4.2Vまで変化することになりますが、このICを使えば3.3Vの固定出力をそこから取り出せるように適当にやってくれるというとても便利なICです。
またこのサイトで扱う電子部品関係は中華製のものが多いのですが、珍しくこのICは機能の割に安くAliexpressで単価40円ほどで購入できます。同等機能の中華製ICとあまり差がないこともお勧めできるポイントです。
機能の詳細についてはデータシートを見ていただくのが確実なのですが、すこし特徴的だなと思った点を紹介すると
さて、次に簡単な評価を行ったのでその結果をご紹介します。
リチウムイオン電池の出力から3.3Vを作成することを念頭に評価を行ってみました。評価については下のような評価基板を作成し、電子負荷を使って評価を行いました。
まずPower Saveありの場合に入力電圧を変化させました。2V以上の入力があれば3.3Vの出力が確保されていそうです。
次にリチウムイオン電池を使うことを念頭に3.2V~4.2Vの間で負荷電流を変えながら電圧を見てみました。この図から0.45mA以下だと省電力モードになって3%ほど電圧が高くなっていることが分かります。
リップルについては55kHzで約100mVぐらいです。周波数については入力電圧で若干変化しますが50kHz以上のスイッチング周波数のようです。
同様にPower Saveなしの状態でも入力電圧を変化させてみました。
図でわかるように入力電圧が出力電圧に近い場合は問題ないのですが、離れてくるとうまく出力がされないことが分かります。また入力電圧が低すぎる場合は発熱が大きく、一つ評価中に壊してしまいました。ほかにも電圧を評価中に上げすぎてしまって1つ壊してしまったのですが、どうやらこのTPS63020の過熱保護はあまり機能していないような気がします。
負荷電流を変えながら測ると省電力モードにならないため、低電流時の電圧上昇は見られません。3%の電圧上昇が許容できない方はこのモードを使うべきでしょう。
省電力モードと比較してリップルの周波数が高くなり、電圧が小さくなっています。左の図は上の省電力モードと同じ縮尺なのですが、見た目でリップルが小さくなっていることが分かります。
なおこの状態でも拡大すると2.5MHzでスイッチングノイズが出ており、仕様書通りのスイッチング周波数で動いていることが分かります。
最後にEnableピンを瞬間的に下げて動作を止めてみました。赤色が出力、黄色が入力になります。手動で評価したのでチャタリングが激しいのですが、別のページで紹介しているMT3608などではスイッチング動作が止まるだけで、入力がそのまま出力されるのに対してTPS63020では出力が0Vとなっており、直感的にEnableピンとして想定できる動作となっています。
以上の評価結果をまとめると低電流時の50kHzのスイッチングノイズを共用できるのであればPSピンをGNDに接続して省電力モードとして動かすのが良いと思います。
一方このノイズが許容できない場合はPSピンをHIGHに設定して動作させますが、その場合入力と出力の電圧差が大きいときに動作が不安定になるので十分に注意して使用すべきだと思います。
いずれにせよ有名メーカーのICが比較的安価に使用できるのでとてもお勧めできるICだと思います。
'22.8.4追記
こちらのページに書きましたが、どうやらこのページで紹介した評価基板はインダクタの飽和電流が小さすぎて十分にTPS63020の性能が出せていなかったようです。 残念!!
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